留め接ぎに思うー日本人の美意識

古から木(植物)が衣食住に関わって来た日本人には、木材の加工方法や使い方に独特の美意識があると思います。

例えば、木目へのこだわり、仕口の複雑さ。

強度や耐久性を経験則から学び、より一層の高みへと求めた、探究心、技術力。

そして、そうした行いに対するリスペクトの気持ちが、

やがて美意識として日本人の文化に、大げさに言えばＤＮＡとして受け継がれた、と思うのです。

この画像は例えば板から箱を組む場合のコーナーのつなぎ方。
左側の方法は「イモ」（芋）と呼ばれる、最も単純で難易度も低い方法。
呼び名の由来は多分、、、今で言う所の「ダサい」？みたいな

つまり、現場で左の方法を採っていたら、
「お前それダサいぞ！そこは手間がかかってもトメでつなげよ！」って言われるパターン

左の方法が何故「ダサい」のか？

ちょっと専門的になってしまいますが、、
端的に言えば、木の断面（木口と呼ぶ）は木材にとっての弱点なのですが、
イモ接ぎはその弱点である木口が露わになっています。
また、二つの材料が同一条件で無いと言う点で、不均衡が生じます。
この不均衡は後々の完成品の弱点となりえます。

そう言う木の特性とか、構造のあり方、なんかを
先人たちは
「安易に妥協すると、後々、痛い目に会うぞ！」
と戒め、それが職人（技術者）として、
もっと言えば、人としての在り方？としての教えとして
受け継がれ、育まれた美意識なんじゃないかと思うのです。
英語で言うところの「smart」ってやつですね。

そんな職人たちの気構えに応える態度
良いものを美しいと評価する。
それこそが、日本人の美意識なのだ、、、と

今更ながらに、想いを巡らせるのでありました。